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【スウェーデン編】時間に正確。列にも整然と並ぶ真面目な人々

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Reported by アルフレッド
スウェーデンにある日系企業の現地法人に勤務。現地での楽しみは、家族旅行やゴルフ、テニス、ソフトボールなどのスポーツ。ローカルスタッフとのパーティーと駐在員仲間との飲み会も良い気晴らしになっている。

どんなに繁盛しても店舗を拡大しないホットドッグ店

こんにちは。アルフレッドです。今回は、スウェーデンの人々の国民性についてお話しします。

 

スウェーデンの人々は、私から見ると、とにかくのんびりとしていてマイペースです。例えば、人気店の店先に行列をつくって並ぶ人々は、どんなに長い列にも、決してイライラすることなく整然と順番が来るのを待っています。こういうところは、日本人と似ているなと思います。ただ、日本と異なるのは、行列ができるほどの人気があるのにもかかわらず、店を拡大するわけでもなければ、従業員を多く雇うわけでもなく、自分のできる範囲で無理をせず商売をしているところ。「商売っ気がない」「欲がない」ということなのでしょうか。ストックホルム市内には、スウェーデンで一番人気のホットドッグ店があるのですが、店主1人で営業しており、オーブンも小さいため、昼の混む時間帯はホットドッグ1本のために1時間も並ばなければなりません。店員をもう1人雇うだけで、売り上げは2~3倍になるのではないかと思いますが、そうは考えないようです。社会福祉が充実しており、老後のための貯蓄など必要ないという社会事情がその背景なのかもしれません。将来に備えるという発想はないようで、今を精いっぱい楽しめればいいという考えがその根底にあるように感じます。

 

時間にも非常に正確。ヨーロッパでは、パーティーに招かれた際などは、開始時刻よりも遅れて行くのが常識とされていて、早めに着くとかえって準備に忙しいホストに対して失礼とされることもありますが、ここスウェーデンでは、ほぼ定刻通りにパーティーがスタートします。電車や列車の時間も、南ヨーロッパとは比べ物にならないほど正確です。

 

そのため、空港から飛行機に乗ってどこかへ出発するときなども、余裕を持って空港に到着するようにしているためか、セキュリティチェックでもゆっくりと行動していて、その結果、長蛇の列ができてしまったりしています。

 

お酒を飲んでどんちゃん騒ぎするのが大好き

また、めったに怒ったりしない穏やかな気性も、スウェーデンの人々の特徴です。本当に理不尽なことをされない限り怒りません。同僚同士も和気藹々(わきあいあい)と仕事を進めており、私が赴任してから一度も怒って罵(ののし)り合ったりしたところを見たことがありません。スウェーデンには、「Fika(フィーカ)」というお茶の時間を定期的に設ける習慣があり、私たちも昼食後は事務所にある喫茶コーナーで1時間ほどおしゃべりを楽しんでいます。Fikaは、スウェーデン特有の文化ではないかと思いますが、こうして親睦を深めることが、同僚との良好な関係を築く一助となっているのも確かです。

 

同時に、陽気な人が多いということも言えるでしょう。そのため、アルコールが入ると収拾がつかなくなります。週末の夜、ストックホルム市内の繁華街に行くと、必ず現地の人々がバーやクラブでどんちゃん騒ぎをしている光景を目にすることができます。事務所の飲み会でも、同僚が酔っ払って千鳥足になり、通りのショーウインドーに突っ込んでガラスを割ったことがありました。飛行機内でもかなりの確率で酔っ払いに遭遇しますが、特に東欧へ向かう機内では、比較的静かな東欧人の中にスウェーデン人のツアー客がまぎれていたこともあり、あまりの騒がしさに、ほかの搭乗客から顰蹙(ひんしゅく)を買っていたものです。あくまでも私見ですが、スウェーデンの人々は、ヨーロッパの中でも群を抜いて飲兵衛(のんべえ)だと思います。

 

そのせいなのか、スウェーデンでは、公共性の高い場所での飲酒が禁じられています。電車やバスの中、市内の中心地にある公園などではお酒を飲むことができないので、せっかく王立公園で桜が咲き誇っていても、お酒は飲まずに素面でのお花見になります。そもそも、アルコール度数3パーセント程度のライトビールならスーパーで買えますが、ビール、ワイン、ウイスキーといったお酒は、政府指定のお店(スウェーデン語で「Systembolaget」)でしか買えません。しかも日曜日が定休となっているため、コンビニでいつでもお酒が買える日本とは大違いです。

 

なお、スウェーデンにはジャガイモから作られた「シュナップス(Snaps)」と呼ばれる蒸留酒があります。アルコール度数約40パーセントという非常に強い酒ですが、食事をしながらお猪口(ちょこ)サイズの小さなグラスで何杯も一気飲みするのが北欧流のようで、これが始まると飲み会も一段と盛り上がります。北国だからか、スウェーデン人は特に酒に強く、しかも「今日は飲むぞ」というときはたくさん飲むようで、日本のように毎晩、ちびちびと晩酌を楽しむような風習はないようです。

 

仕事帰りに同僚と一杯、というようなこともありません。皆、定時に退社して、自宅で家族との団らんの時間を大切にするからです。普段の飲み会がない分、夏至祭やクリスマスの季節には、同僚同士が集まって盛大に家族ぐるみのパーティーを行っています。所長の自宅や事務所、あるいはレストランを借り切ったり、ホテルの一室を借りたりして、場所はさまざま。参加メンバーも、従業員のみだったり家族同伴だったりと、特に決まりはありません。ただ、家族同伴の場合は、皆静かに飲み、解散も早いのですが、従業員のみのパーティーでは、必ず二次会で街に繰り出し、バーやクラブで飲んで歌っての大騒ぎを明け方まで続けます。老若男女問わず、踊るのが大好きで、クラブは毎週末大いに賑(にぎ)わっています。

 

次回は、スウェーデンでの私の暮らしについてお話しします。

 

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ライトビール以外のアルコールを売ることができる酒類専売所(Systembolaget)。緑に黄の文字で書かれた看板が専売所のマークだ。この日は日曜日だったので店は営業していなかった。

 

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会社の家族同伴クリスマスパーティー。自分の家族のそばではさほどはっちゃけない社員たち。

 

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王立公園。毎年5月初旬には、日本から寄贈された八重桜が満開となり、お花見をする人で賑(にぎ)わう。公共性の高い場所でアルコールを飲むことは禁じられているので、もっぱら桜の木の下に座っておしゃべりや日向ぼっこを楽しみながら鑑賞している。

 

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ストックホルム宮殿(旧国王私邸)での衛兵交代式は、王国ならではの光景。

 

構成/日笠由紀


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