カナダにある日系企業の現地法人に勤務。オフの時間は、買い物やジム通い、ドライブや日本の情報をインターネットで収集したりして過ごしている。
人を責める文化のない国
はじめまして。KAWです。カナダにある日系企業の現地法人に勤務しています。
同僚はほとんどがカナダ人ですが、人種は、アジア、中東、南米、ヨーロッパと実にさまざまです。こういうところは、積極的に移民を受け入れる政策をとっているカナダならではなのかもしれません。そして、日本人駐在員は数人です。顧客も、日系企業が多いためか、やはり多数のカナダ人と数人の日本人という構成。仕入れ先は、現地の企業と日系企業が半々というところでしょうか。
仕事で使う言葉は、ほぼすべて英語。会議の場などでも、一人でも現地の方がいれば、残りは日本人同士だとしても英語を使うようにしています。
カナダで仕事をしていても、日本との違いはさほど感じません。ただひとつ特徴的なのは、「人を責める」という文化がないこと。私自身、ここでは誰かから何かを強く言われることがめったにないので、非常にストレスの少ない環境だと感じます。ただし、ひとたび自分が部下や同僚に仕事を頼む側に回ったときは、相手が日程を守ってくれなくても、迂闊(うかつ)に責められないので苦労します。聞いたところによると、過去の駐在員の中には、期日を守らなかった部下を丸めた雑誌で叩(たた)いてしまったりした人もいたとか。今でも現地スタッフたちに語り継がれているといいますから、そのぐらいカナダ人には衝撃的な出来事だったのでしょう。
私自身は、もともと人を責めるタイプではないので、相手が納期を守ってくれなさそうなときは、「遅れそうなら、スケジュールを再調整してください」と頼むだけにとどめています。そう言うと、皆、なぜか慌てて仕事をし始めてくれるのです。スケジュールの再調整が面倒だからでしょうか…。なお、どうも怪しいなという雰囲気のときは、「遅れている」という言い方を避けて、「そろそろ何か考えてる?」とあくまでものんびりしたポーズを崩さずに聞くようにしています。そうすると、大体の場合、相手は「大丈夫!」と答えてくれるのですが、見ていると、席に戻って慌てて電話をかけていたりするので、予定通り進めていなかったことは明白。そんなときも、決して責めてはいけません。あくまでもさりげなく声をかけつつ、自然な流れで「そろそろやらないと!」という気分にさせるのが、仕事をスムーズに進める秘訣(ひけつ)のようです。
感謝をこまめに口に出すことが大切
もう一つ、仕事を円滑に進めるために気をつけているのが、相手をとにかく「褒める」「感謝を口に出して伝える」こと。頻繁に使う言葉は「Good job!」でしょうか。特にありがたかったときには、「You are the man!」などと派手に持ち上げたりもします。担当者としてやるべき業務を普通にこなしただけなのですが、それでもあえて褒めておくわけです。そして、「次はもう少し上の目標を目指して進めてね」と頼むことを忘れないのがポイント。例えば、設備保全の担当者が10分で設備を直したとします。そんなときは、「ありがとう、助かったよ。同じ不具合が次に起きないようになるといいけどね。何か案はあるかな?」という具合です。
また、「あなたの測定データから、不具合の原因がわかったよ、ありがとう」とか「あなたの対策を折り込んでから、不具合が出てないね、ありがとう」など、誰の仕事でどんな効果が出ているかを伝えることで、その効果が出ているか、あるいは持続しているかも確認します。本人も忘れてしまっているような些細(ささい)なことだったとしても、「あれからずっと調子がいいね」なんて言われるとうれしいのは、カナダ人も日本人も同じですよね。
次回は、カナダの人々についてお話しします。
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カナダ郊外の街並み。街のそこかしこに手入れの行き届いた花壇があり、四季折々の花が街を彩っている。
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ライトアップされる繁華街。中高層ビルと歴史的建造物が混在している。
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カナダとアメリカの間にある名勝ナイアガラの滝。豊富な水量は、水力発電にも使われている。
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休日は身近な自然の中で心からリラックス。少し足を延ばせば緑豊かな公園が広がっている。
構成/日笠由紀